HuggingChatとは?ChatGPTに対抗するオープンソース対話型AIチャットが登場!日本語対応状況なども解説
近年はAIチャットの種類が増えており、新しいものとしてHuggingChatがリリースされています。対話型のAIチャットで、質問などに答えてくれるサービスです。
非常に新しいサービスであるため、日本ではHuggingChatについてほとんど知られていません。今回はHuggingChatのサービス内容や始め方と使い方、人気の類似サービスであるChatGPTとの違いなどを解説します。
公式URL:https://huggingface.co/chat/
目次
HuggingChatとは
HuggingChatとは、HuggingFace社が開発した対話型のAIチャットです。近年は対話型のAIチャットが増えていて、人間と会話するようにAIと会話できるタイプのサービスを指します。今までの検索エンジンは、検索に対して結果を示してくれるだけでしたが、HuggingChatなどのAIチャットは会話形式で内容を深掘り可能です。
AIチャットといえば、ChatGPTが有名であり、HuggingChatはこれの類似サービスであると考えましょう。まだまだ、ChatGPTには劣る部分がありますが、同様にAIと会話ができます。なお、HuggingChatはオープンソースで開発されているAIチャットという特徴があるため、これについては以下で解説します。
オープンソースのOpen Assistantを利用したAI
HuggingChatの大きな特徴として、オープンソースで開発されているAIということがあります。オープンソースの中でもOpen Assistantと呼ばれるものが利用されているため、これらについて理解を深めましょう。
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Open Assistantとは
Open Assistantは、現在公開されている対話型AIの中でも、オープンソースで開発されているものです。オープンソースとは、実装に利用するソースコードが公開されているものかつ、それらを無料で自由に使えるものを指します。つまり、HuggingChatは誰でもソースコードの中身を閲覧し、自由に改変して利用することが可能です。
しかも、Open Assistantは、他のAIとは異なりOpenAIのAPIを利用していません。多くのAIサービスは、人工知能開発の大手企業であるOpenAIのAPIを活用していますが、Open Assistantは独自の技術を利用しているのです。独自に大規模言語モデルを開発し、それを自由に活用できる状態で提供しています。この点は、今まで活用されてきた対話型AIサービスと大きく異なる点であると考えて良いでしょう。
なお、Open Assistantは「ChatGPTの再現」を目指したプロジェクトではなく、さらに高度な文章生成を目指しているとされます。誰もが自由にAIをカスタマイズして、自分たちに適した文書生成サービスを生み出すことを目的としているのです。HuggingChatは、Open Assistantの思想を汲んだサービスのひとつであり、これからHuggingChatはもちろん、多くのサービスが生み出されると期待されています。
オープンソースであることの恩恵
オープンソースで開発されているため、利用者やエンジニアは、HuggingChatをカスタマイズできます。他の対話型AIは、APIが公開されているものの、ソースコードが公開されていません。つまり、自由にカスタマイズすることは不可能です。
しかし、HuggingChatならばソースコードが公開されているかつ改変が可能であるため、HuggingChatをベースに自分なりのカスタマイズができます。何かしら追加したい機能があれば、HuggingChatに自分自身で変更を加えられる点が魅力です。
とはいえ、AIの開発には非常に専門的な知識が必要とされます。HuggingChatがオープンソースで公開されているとはいえども、自分自身で使いこなすことは難しいでしょう。これから、HuggingChatのようなAIのオープンソースプロジェクトが増えていくと考えられるため、AIの開発に携わりたいならばそれらに参加することをおすすめします。
ChatGPTとは違い日本語への対応は不十分
日本で幅広く利用されているAIサービスといえば、ChatGPTです。メディアなどでも取り上げられるぐらい、日本に浸透している対話型AIサービスとなっています。
ChatGPTは、日本に浸透していることからもわかるとおり、日本語に対応したサービスです。流暢な日本語を生成することが可能であり、人間の会話と大差ありません。細かい要望にも対応できるぐらい、利用者が入力した文章を正確に読み解いてくれます。
それに対して、HuggingChatは日本語への対応が不十分な状況です。「まったく日本語には対応していない」という状況ではありませんが、正確なやり取りはできないと考えておきましょう。日本語への対応はもう少し先になりそうです。
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現時点ではHuggingChatの商用利用に制限あり
HuggingChatの利用がこれから広がっていくと考えられますが、注意したいのが商用利用です。現時点では、HuggingChatに利用されている規約の都合から商用利用に制限があります。
LLaMA 30Bの規約に左右される
HuggingChatはMeta社が開発した「LLaMA 30B」と呼ばれる大規模言語モデルをベースに開発されています。こちらの大規模言語モデルは、現時点で商用利用が制限されたものです。つまり、ベースとなる大規模言語モデルに制約があり、HuggingChatもその影響を受けるのです。
オープンソースは、自由に使用したり改変したりできますが、ライセンスの考え方があります。商用利用の制限がないライセンスもあれば、HuggingChatのように制限のあるライセンスも存在するのです。そのため、現状では、ベースのライセンスが変化しない限り、HuggingChatの商用利用にも影響が出てしまうでしょう。
今後の変化に期待
今後、HuggingFace社は権利関係の制約を改善すると表明しています。具体的には、現時点で大規模言語モデルの都合から発生してしまう制約を回避し、自由に使えるようにするのです。商用利用に制約があることは、ビジネス面で望ましくないことであり、これから力を入れて改善していくと考えられます。
ただ、HuggingChatはリリースされて間もないサービスであり、どのようなマイルストーンで進められていくかは不明です。現在はサービスの開発やアップデートに注力し、権利関係はその後に着手するのではないかと考えられます。今後の発展には期待できますが、長い目で評価しないといけないでしょう。
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HuggingChatの始め方
HuggingChatの始め方は簡単で、公式サイトへアクセスするだけです。事前に登録などは必要なく、アクセスすればその場で利用できます。実際に、公式サイトへアクセスしてみると、以下の画面が表示されます。
なお、現時点でHuggingChatに採用されている、大規模言語モデルのバージョンが表示されるようになっています。今回、アクセスを試した際には「oasst-sft-6-llama-30b」が利用されていますが、これからHuggingChatが進化してくにつれて、こちらのバージョンが変化するでしょう。実際に、HuggingChatを利用する際は変化している可能性があるため、表示が異なるかもしれません。
また、海外の利用者による情報を参照してみると、一時的に不可がかかり動作が重くなることがあるようです。ChatGPTなどのように、まったく利用できない状況は確認できていませんが、タイミングによっては始められないかもしれません。一時的な問題だと考えられるため、その際は改めてアクセスしてみるようにしてください。
HuggingChatの使い方
HuggingChatの使い方は、チャット欄に質問内容を入力するだけです。今回はHuggingChatがどのようなサービスであるのか尋ねてみました。
すると、どうやら自分のことは理解していないようです。HuggingChatはオープンソースの大規模言語モデルを採用しているため、学習していないキーワードなのでしょう。代わりに好きな色を聞いてみると、以下のとおりコメントがありました。
続いて、日本語で使えるかどうかを試してみましょう。以下のとおり日本語でHuggingChatへ質問してみます。
日本語は理解できるサービスということが判明しました。ただ、日本語での回答を求めると以下のとおりです。
質問の内容は理解できていて、先程と同じく「青色」と回答してくれます。ただ、日本語で答えてくださいという要望は無視されてしまいました。
日本語での回答を要望しても、相変わらず無視されてしまいます。つまり、基本的には日本語で回答してもらうことは難しいと考えて良いでしょう。ただし、日本語の質問は適切に理解してくれるため、英語が苦手な人は回答を翻訳することで利用できます。
なお、2023年5月1日現在では再現できていませんが、SNSなどを参照してみると、日本語での回答を得られたケースが見られました。しかし、生成されている日本語が支離滅裂であり、日本語に対応しているとはいえない状況です。現在のバージョンでは、この状況を回避するために、日本語での回答を停止している可能性があります。今後、HuggingChatがバージョンアップされた際に、日本語にも改めて対応するかもしれません。
まとめ
新しい対話型AIであるHuggingChatについて解説しました。オープンソースで開発されているAIであり、これからの発展に期待できるものです。現時点では商用利用に制限がありますが、これから改善されていくでしょう。
なお、HuggingChatは日本語で質問できますが、日本語での回答生成は確認できていません。提供されているバージョンによって異なる可能性があり、その点は注意しておきましょう。