GoalGPTとは?使い方や始め方、ChatGPTやAuto-GPTの違いも解説
最近は、幅広いメディアでAIの進化が取り上げられています。特に、ChatGPTのような対話型のAIが注目されている状況です。
ChatGPTがAIの代名詞のようになっていますが、GoalGPTと呼ばれる新しいAIも注目を集めています。自己統治型のAIであり、課題の解決に向けて、AIが自分で質問を繰り返してくれるものです。今まで注目されていたAIとは異なる、GoalGPTとはどのようなAIであるのか紹介します。
公式URL:https://beta.nando.ai/goalgpt.php
目次
話題のGoalGPTは自己統治型のAI
現在、話題となっているGoalGPTはAIの中でも「自己統治型」と呼ばれるものに分類されます。自己統治型とは、外部から指示を受けるのではなく、自分自身で判断して行動するAIです。具体的に、GoalGPTがどのようなAIであるのか以下で解説します。
目的(ゴール)に向けた反復処理に対応
GoalGPTは目的(ゴール)に向けて、反復的な処理を実現できるAIです。現在、幅広く利用されているAIは「対話型」と呼ばれるものですが、GoalGPTはそうではありません。対話型のように、外部からの入力を受け付けるのではなく、最初の入力から反復して処理を続けます。
一般的に、問題を解決したりゴールに辿り着くためには「なぜなぜ分析」と呼ばれる考え方が必要です。1回の質問で、本質に辿り着けるのではなく、3回の質問を繰り返すことが求められます。世界的に認められている考え方であり、GoalGPTもゴールに向かって、反復的に処理を続けるのです。
本来、このような反復処理は、人間がチャットなどでAIへインプットする必要がありました。AIが示した回答をもとに「なぜ」を検討し、それをインプットして深掘りしてもらうのです。しかし、GoalGPTを利用することで、このような深掘りは自動化され、最終的なアウトプットだけを得られるようになっています。
やるべきことを3つ挙げてそれぞれを深掘り
上記で解説した「なぜなぜ分析」には、明確な手法がありません。そのため、GoalGPTではゴールへ辿り着くために、やるべきことを3つ挙げる仕組みが採用されています。後ほど紹介しますが、コンソールに深掘りする内容が表示され、それぞれについて詳細化してくれるのです。
また、深掘りするような依頼ではなくとも、やるべきことや課題を3つ挙げてくれます。それぞれの観点から、質問を繰り返し、それぞれの本質を示してくれる仕組みです。これによって、単純にAIへ質問や依頼をするよりも、より本質に近い回答が得られます。
なお、やるべきことやその深掘りは、GPT-3.5やGPT-4が処理しています。OpenAI社が開発する、大規模言語モデルを活用して、GoalGPTの処理を実現しているのです。なお、具体的に、どのような内容で追加の学習やカスタマイズが施されているのかは公開されていません。そのため、ChatGPTなど、OpenAI社の大規模言語モデルに、追加の学習をさせているAIには劣ってしまう可能性があります。
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GoalGPTとChatGPTの違い
GoalGPTは注目されているAIではありますが、世間的に注目を集めているのはChatGPTでしょう。続いては、GoalGPTとChatGPTには、どのような違いがあるのか解説します。
AIの形式
GoalGPTとChatGPTの大きな違いは、AIの形式です。GoalGPTは「自己統治型」のAIですが、ChatGPTは「対話型」のAIです。これらの違いは、利用者の操作性などに大きな違いを与えます。
まず、上記でも解説したとおり、GoalGPTは自分自身で反復して問題を深掘りしてくれます。その過程において、人間が関与する必要はなく、AIがすべてを進めてくれるのです。部分的に、人間が方向性を示すことが求められますが、それもGoalGPTが示す選択肢から選ぶだけです。
それに対して、ChatGPTでは、このような選択肢を示してもらうことはできません。問い合わせに対して回答が表示されるだけであり、その次のステップは人間が考える必要があります。また、指示も人間が改めて出さなければなりません。AIの形式が違うことで、利便性や人間が介在する部分が大きく変化するのです。
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学習内容
正確な情報は公開されていませんが、GoalGPTとChatGPTでは学習内容が異なると考えられます。どちらも、基本となる大規模言語モデルは同じですが、カスタマイズしている内容が異なるはずです。それぞれ、独自の学習によってAIを作成しているはずであり、基本的には異なったものと考えましょう。
実際、ChatGPTは非常に多くのパラメーターで、カスタマイズされていることが公表されています。ただ、どのようなパラメーターが採用されているのかは、公表されていません。つまり、GoalGPTが同様のパラメーターで学習していることはほぼありえないのです。
AIの学習内容は、質問への回答精度や会話の正確性に影響します。これらは、学習内容の異なるAIであるため、処理結果にも違いを与えるのです。
ユーザー登録
後ほど解説しますが、GoalGPTはユーザー登録なしで利用できるAIです。近年注目されているAIは、ユーザー登録の必要なものが多く、ChatGPTもユーザー登録が求められます。しかも、ChatGPTのユーザー登録は、手順がやや手間であり人によっては面倒くささを感じるくらいです。
しかし、GoalGPTはこのような作業が一切なく、公式サイトへアクセスすれば簡単に利用できます。この点は、利便性を左右する大きな違いだと考えておきましょう。
また、ユーザー登録が必要ないため、待機時間などの概念もありません。ChatGPTは、利用者数の急増からアクセスが制限されることがありますが、GoalGPTでは今のところそのような事象がありません。利用したいタイミングで、いつでも利用できるようになっています。
料金
どちらも基本的には無料で利用できるため、その点では違いがありません。チャットGPTはユーザー登録が必要ですが、この部分に費用はかからないため意識しなくとも良いでしょう。GoalGPTは、ユーザー登録の概念がないため、もちろん費用はかかりません。
ただ、どちらにおいても「有料会員」という考え方があります。課金することで、よりよいサービスを受けられるようになっているのです。例えば、GoalGPTは有料会員になることで、GoalGPTを含めたNando.AIのサービスを幅広く利用できます。また、ChatGPTは、有料会員になることでGPT-4が利用可能です。
利用できるサービスが異なることで、有料会員になるための料金に違いがあります。GoalGPTは月額39米ドル必要であるのに対して、ChatGPTは月額20米ドルです。課金によって手に入るものは大きく異なりますが、約2倍の差があるため、有料会員になりたい場合は注意しましょう。
GoalGPTとAuto-GPTの違い
GoalGPTと併せて利用されるキーワードとして、Auto-GPTがあります。これらは同じ部分と違う部分があり、それぞれ理解しなければなりません。
キーワードの粒度
まず、Auto-GPTには「アプリケーションそのもの」と「自己統治型AIの総称」という2つの側面があります。アプリケーションとして見ると、GoalGPTもAuto-GPTも同じ機能を備えたものです。しかし、総称としてみるとGoalGPTとAuto-GPTは粒度の異なるキーワードといえます。
GoalGPTはアプリケーション名でAuto-GPTはAIの形式であり、GoalGPTはAuto-GPTに属するひとつのアプリケーションという位置づけになるのです。つまり、Auto-GPTに属するAIは、すべて自己統治型であると考えて差し支えありません。目的さえ設定すれば、後は反復的な処理を進め、問題の深掘りや解決を実現してくれます。
なお、Auto-GPTにはGoalGPT以外にAgentGPTなどの製品が存在しています。これらとGoalGPTには、性能面での違いがあるため注意しましょう。文脈などから、Auto-GPTが何を指しているのか、適切に理解することがまずは重要です。
利便性
一般的なAuto-GPTとGoalGPTには、利便性に大きな違いがあります。GoalGPTはWebブラウザで簡単に利用できますが、Auto-GPTはパソコンに環境を構築するなどしなければなりません。一般的なAuto-GPTと比較すると、GoalGPTの方が圧倒的に使いやすいと考えましょう。
Auto-GPTは新しいAIの製品であり、幅広い人が利用できるようには開発されていません。そのため、自分で環境を構築するためのソースコードなどだけが公開されていて、自分で準備することが求められます。また、AIとのやり取りにはコード形式が利用されるなど、エンジニア以外は馴染みがないものです。
しかし、GoalGPTはこのような問題を解決し、Webブラウザからチャット形式で利用できるようになっています。Auto-GPTのようにコード形式ではないため、他の対話型AIを利用したことがあれば、GoalGPTも簡単に利用できるのです。一般的な利用者のことを考えて、Webブラウザから使えるようにしたAuto-GPTがGoalGPTだと考えれば分かりやすいかもしれません。
GoalGPTの始め方はサイトへアクセスするだけ
GoalGPTは他のAIサービスとは異なり、公式サイトへアクセスするだけで利用を開始できます。事前に会員登録したり、登録してから待機したりする必要はありません。簡単な始め方であるため、気軽に利用できるAIだと考えて良いでしょう。公式サイトへアクセスして、以下の画面が表示されたならば、その状態ですでにGoalGPTを利用できるようになっています。
GoalGPTの基本的な使い方
始め方は上記のとおり、公式サイトへアクセスするだけです。また、基本的な使い方も簡単であり、下記の赤枠の部分に「ゴール」を入力します。なお、今回は入力しませんが、OpenAIのAPIコードを保有しているならば、それを入力することで、APIを利用した高得な処理が可能です。
入力後は「Deploy GoalGPT」をクリックすることで、処理が開始されます。
処理されている内容からも分かるとおり、GoalGPTが自動的に質問を繰り返し、その様子が表示される仕組みです。人間が何かしら操作する必要はなく、上記の画像で示されている内容が自動的に生成されます。最終的には、以下のような結果が示されました。
何をやるべきであるのか、ある程度は示されるようになっています。GoalGPTの基本的な使い方は、このようなゴールを示してもらうことであるため、要望には応えてくれていると考えて良いでしょう。
ただ、画像からも分かるとおり、日本語のやり取りにはやや不安を感じます。上記の例以外にも、いくつかの質問を試しましたが、適切な文法は語彙ではない日本語が生成されることがあったのです。また、日本語が2バイト文字であることの影響か、文章の途中から文字化けが多発することもありました。
逆に、英語だけで簡単な質問をしてみると、このような文字化けや認識齟齬は見受けられませんでした。精度を求めるのであれば英語で依頼した方が良さそうです。日本語の場合は、必要に応じて文章を修正して、理解するようにしましょう。
まとめ
自己統制型のAIである、GoalGPTを解説しました。現在主流の対話型AIとは異なり、自分自身で質問を繰り返しながら問題を解決してくれます。対話型では、人間が何度も質問する必要がありますが、GoalGPTならばこの部分も自動化されるのです。
使い方は難しくありませんが、依頼内容によっては的はずれな回答となってしまいます。英語の依頼は、比較的性格であるため、日本語の学習はこれから強化されるのでしょう。現時点では、ベータ版の公開であるため、利用する際には注意が必要です。