Bardが日本語対応!GoogleのAIチャット「バード」を解説
Bard(バード)はGoogleが開発したAIチャットです。今までは日本語に対応していませんでしたが、2023年5月11日より、日本語に対応したと発表されました。試験運用中のサービスではありますが、日本語に対応したことで、利便性が大きく高まっています。今回は、新しくなったGoogleのAIチャットであるBardを解説します。
公式URL:https://bard.google.com/
目次
Bard(バード)はGoogleのAIチャット
冒頭でも解説したとおり、BardはGoogleが開発した対話型のAIです。チャット形式でコミュニケーションを取れるようになっていて、質問や依頼に対して、チャットで対応してくれます。また「対話」という部分からもイメージできるように、質問への回答に対してさらに質問することも可能です。
Bardには、Googleが開発した独自の言語モデルが導入されています。後ほど、細かく解説しますが、日本語対応の際にPaLM 2と呼ばれる最新のモデルが導入された状況です。今まで以上に、多くの質問に返答したり、依頼した作業に対応したりできるようになりました。
BardがChatGPT同様に日本語に対応
先日まで、Bardは英語など一部の言語でしか利用できませんでした。しかし、Bardは同じく有名なAIチャットであるChatGPTのように、日本語で利用できるように変化しています。日本語に対応した事実について整理していきましょう。
誰でも自由に日本語で利用できる
5月11日に新しいBardが公開されたことで、誰でも自由にBardを日本語で利用できるようになりました。今まで「Bardは英語でしか利用できないため使いにくい」と考えられていましたが、状況が大きく変化したのです。Bardのトップページは、英語表記から日本語表記に変更され、日本のサービスとしてローカライズされています。
ただ、Bardをどのような言語で利用するかは、アクセスの状況によって自動的に判断されているようです。例えば、Bardを利用するためにはGoogleのアカウントが必要であり、この情報で日本語を表示していると考えられます。あるいは、アクセス元を識別し、日本からのアクセスであれば日本語で表示しているのでしょう。
いくつかの手法を試した結果、基本的には日本語でBardを利用できるようになっています。ただ、海外からのアクセスなどは、日本語で表示されないことがあるのです。誰でも日本語で利用できるようになっていますが、標準で日本語が表示されないこともありえます。
大規模言語モデル「PaLM 2」を採用
Bardは最新の大規模言語モデルである「PaLM 2」を採用しています。Googleが開発を続けている言語モデルで、こちらはその最新バージョンです。日本語への対応はもちろん、他の言語への対応も同時におこなわれています。これにより、Bardは、多言語に対応して、より使いやすいサービスへと進化しました。
また、日本語へ対応するために、言語モデルとして多くの情報を学習しています。それらの中には、一般的な文章だけではなく、文学や慣用句、クイズのようなものも含まれているようです。これらを学んでいることで、複雑な日本語あっても、Bardは適切に理解したり回答を生成したりできるようになっています。
開発途中の言語モデルであり、Bardの日本語利用は誤りを含む可能性があります。ただ、実際に利用してみた感覚では誤りは少なく、十分に実用的なサービスです。
日本語対応と同時にWaitlistが廃止
日本語対応が公表されたタイミングで、今まで必要とされていたWaitlistへの登録が廃止されました。こちらは、事前にBardの利用申請をしておき、順番が来るとBardが利用できるようになる仕組みです。初期は、Bardの登録をしてから利用できるまでに、数日は待機する必要がありました。
しかし、5月11日のリリースでは、こちらのWaitlistが廃止されることが発表されています。Googleのアカウントでログインしていることが条件とはなりますが、アカウントさえ持っていれば自由に利用できるのです。過去にWaitlistに登録していない人でも、今すぐにBardを使えます。
Bardでの日本語検索例
実際にBardへアクセスしてみると、以下のとおり日本語でトップページが表示されます。
今までは英語で質問の例が表示されていましたが、画像のとおり、日本語で表示されるようになっているのです。これは、Bardが日本語対応した証拠であり、非常に大きな変化といえます。
続いては、実際に質問してみましょう。今回は日本語に対応したかどうかを確認しておきます。
日本語に対応したことを理解しているようです。回答も正しい日本語で生成されていて、受け答えには問題ないと考えて良いでしょう。他にも、質問してみた例は以下のとおりです。
難しい質問についても、Bardなりに考えて回答を示してくれています。日本語には問題ありませんが、事実誤認が若干含まれている印象を受けます。とはいえ、時事的な内容を踏まえられていて、これからの発展に期待できる状況です。
なお、日本語の質問に対して、英語での回答を求めても正しく処理してくれません。
英語での回答を得たい場合は、英語で質問することが重要なようです。現時点では、使い方にややコツが必要かもしれません。
BardとChatGPTとの違い
Bardは、すでに活用されているChatGPTとは別のAIチャットサービスです。実装されている機能には違いがあるため、それらの違いを簡単にまとめます。
対応言語
Bardは日本語に対応しましたが、まだまだ対応できる言語の数は限られています。理解できる言語は増えていますが、Bardが生成できる言語の数は少ない状況です。多言語でのアウトプットは難しいと考えておきましょう。
それに対して、ChatGPTは幅広い言語でのやり取りが可能です。質問するだけではなく、色々な言語での回答生成を要望できるのです。この点で、BardとChatGPTには大きな違いがあります。
ただ、Googleは翻訳サービスで多数の言語を扱っている企業です。大量のデータを保有していると予想され、今後はBardも多言語対応するでしょう。
検索エンジンでの検索
Bardの大きな特徴として、質問に関連する内容をGoogleで検索できることが挙げられます。基本的には、生成された内容で完結しますが、何かしら疑問がある場合はGoogle検索で深掘りできるのです。ワンクリックで、関連キーワードが検索できるようになっていて、利便性も申し分ありません。
それに対して、ChatGPTにはこのような検索エンジンとの連携がありません。情報のやり取りは、ChatGPTの内部で完結する仕組みです。つまり、学習されていない情報については、正しい解答を生成できません。
結果のアウトプット
AIとのやり取りをアウトプットする機能があるかどうかで違います。Bardにはアウトプットな機能がありますが、ChatGPTにはありません。
まず、Bardは標準機能として、GoogleドキュメントとGメールでのアウトプット機能を有しています。自分で文章を転記しなくとも、アウトプット機能を利用することで、AIとのやり取りを簡単に記録できます。利便性を高めるという観点で非常に魅力的な機能です。
しかし、ChatGPTは、このようなアウトプットには対応していません。AIでのやり取りで残しておきたい内容は、ユーザーがどこかしらにコピーしておいて、自分で保存することが求められます。ワンクリックで保存することができず、多少なりともユーザーに負担がかかってしまうのです。
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まとめ
Googleが公開している対話型AIのBardが日本語対応したことについて解説しました。すでに日本で利用できるサービスでしたが、英語のみの利用だけではなく、日本語での利用に対応しています。トップページから日本語で表示されるようになり、利便性は大きく改善されました。
日本語で利用できるようになり、複雑な質問にも答えられるようになっています。また、生成される日本語についても不自然な部分は少なく、ChatGPTなどの競合製品と同じように使える状況です。ただ、一部の依頼については理解してもらえないなど、課題が残っている状況であり、これからの発展に期待したい部分もあります。