AGIとは？ChatGPTで注目の汎用人工知能について解説

ここ最近になって話題を集めている「ChatGPT」。汎用人工知能とされる「AGI」の先駆け的存在と位置付けられ、MicrosoftやGoogleといった世界最大手のIT企業もAGIの開発に乗り出しています。

そこで、ここでは現在注目されているChatGPTとAGIの概要や他のAIとの違い、将来性などを具体的に解説します。

AGI（汎用人工知能）とはどのようなものか？

AGI(Artificial General Intelligence)とは「汎用人工知能」と呼ばれるもので、高度な知能を持つAIの一種となります。日本を含むIT先進国では続々と開発が進んでいますが、現段階では未来的なAIとして実現には至っていません。

AGIは「汎用性」が非常に高いことが最大の特徴となり、現在人間の生活に密着しているAIとは一線を画す技術が必要となり、仮に実現すればSF映画のような世界も夢ではなくなると言われています。

「強いAI（汎用型AI）」と「弱いAI（特化型AI）」の違い

AIは大きく「強いAI（汎用型AI）」と「弱いAI（特化型AI）」に区別されます。前者はAGIを指し、後者は現在普及している開発可能なAIとなります。特化型AIとはある特定の分野・タスクをこなすことに長けているAIで、現在人間が扱えるAIはすべてがこの特化型AIの枠組みとなります。

AGIをもう少し簡単に説明すると「人間と同じように自分で判断できるAI」となります。現在主流となっている特化型AIは、何かのタスクをこなすためには一定量のデータの蓄積が必要となり、データにない事象に関して対応することができません。

例えば、普段自宅でコーヒーを飲んでいる人は、見知らぬ人の台所でもコーヒーを作ることができます。初めて見る台所であっても、コーヒーメーカーやコーヒー粉、カップ、コンセントの場所は大体見当が付きますし、自分で探すこともできます。初めて触れるコーヒーメーカーであっても、これまでの経験から使い方はすぐに理解できるでしょう。

特化型AIは見知らぬ台所や新しいコーヒーメーカーの使い方のデータがないため、自分で対処することができません。

AGI（汎用人工知能）が具体的にできること

一方、AGIであれば、人間の脳のようにこれまでの経験から推測して、自分で判断して行動することが可能です。おいしいコーヒーができるかどうかは定かではありませんが、コーヒー作り自体のタスクはこなすことができるでしょう。

このように、AGIは1つの分野だけではなく、あらゆる分野に対して一定水準以上の成果を出すことができ、汎用性に優れているのが特徴です。人間が求めるAIの形としてはアニメの「ドラえもん」やSF映画の「ターミネーター」などが挙げられますが、これも汎用型AI、つまりAGIの一種となります。

無論人型の必要はありませんが、自身でデータを取り込み蓄積し、必要に応じて適切にアウトプットできることがAGIに要求され、それを実現できれば、人の手に代わり、あらゆる分野・ビジネスの業界で有効活用されることが想定されます。

AGIとAIの相違点

AIとはArtificial Intelligenceの略称となり、決まった定義がありません。AIは人工知能であり、現状は人間が行う一部の行動をソフトウェアなどで再現してタスクを実行することができます。

そのため、現在のAIは上述した特化型AIとなり、AGIは同じAIの領域でも未知のタスクをこなせる人間に近い存在と区別できます。

現状主流となるAIの種類

大手IT企業や団体を中心にAGIの開発が進んでいる中、現状は特化型AIが主流となり、IT業界だけではなく人々の生活に密着したAIもすでに普及しています。下記では現在主流のAIを紹介します。

AIがオリジナルの画像を作成するソフトもある

一般的にインターネット上に出回っている「画像」は、人が撮影した写真や、その写真にフォトショップなどで加工を施したものとなります。しかし、近年はAIのテクノロジーを活かした自動画像生成ソフトが注目されています。

代表例を挙げると、AI Picassoが運営会社の「AI素材.com」は、具現化したい画像の内容をテキスト入力するだけで、AIが言葉の意味を判断して画像を生成します。ネット上に流通している画像をコピーしているわけではなく、AIが生成するオリジナルの画像となり、そこに映る人物も架空なので、著作権や肖像権の問題もクリアします。

Webサイト運営のデザインを考える際や、記事中に挿入する画像を探している人には重宝するソフトです。

AIアシスタントも世界で普及が加速

AIアシスタントとは、音声もしくはテキストを送信することによって、AIが質問に応えてくれたり、一部タスクをこなしてくれるソフトウェアとなります。人々の生活の身近な存在にもなっていて、代表例としては「iPhoneのSiri」、「Googleアシスタント」、「Amazon EchoのAlexa（アレクサ）」などが該当します。

AIアシスタントも特化型AIですが、音声認識や検索機能、チャットボットなど複数のAIを搭載しているのも特徴となります。特にAmazon Echoのスマートスピーカーは年々バージョン更新され、ひと声かければニュースや天気、レシピを教えてくれるのはもちろん、「テレビをつけて」、「電気消して」、「明日の6時にアラームセットして」といった要望にも応えてくれます。

Chat botはすでに実用化されている

ビジネス分野で飛躍的進歩を遂げたのが「チャットボット(Chat bot)」です。主にメーカーが自社のWebサイトに採用していて、消費者がコールセンターに問い合わせる前にチャットボットで受け答えすることによって、問題点をより明確化した上で担当者に繫げることができます。

また、ある程度複雑な質疑応答をプログラミングすることによって、基本的な問題はチャットボットの回答によって解決を図ることができるようになります。また、チャットボットには自動学習型AIが搭載されているのも特徴の1つとなります。言葉のスペルミスや表記ゆれにも対応できるほか、「ありがとう」と「おおきに」や「ありがとう」と「サンキュー」を学習することによって同じ意味と判断できるようになります。

世界が注目するOpenAIの「ChatGPT」とAGIの関連性とは？

OpenAIはアメリカのカリフォルニア州に所在をおく人工知能の研究所です。イーロン・マスク氏が出資していることで話題となりましたが、そのOpenAIが提供している「ChatGPT」は2023年以降トレンドとなっており、業界人に留まらずあらゆる分野で試験が行われています。

OpenAIの「ChatGPT」とは？機能の概要

OpenAIが提供している「ChatGPT」は対話型のAIチャットボットです。AIアシスタントが音声認識に対し、ChatGPTはテキストによる人工知能モデルとなります。非常に高度な質問・要求にも応えることができ、これまでネット上ではアメリカの名門大学、日本の司法試験、米国医療免許試験といった難関試験にも合格ラインに達するという記事が上がっています。

ChatGPTは現時点では無料公開されており、ログインすれば誰でも使用できるので、仕事上でも何かしらの価値を見出せるでしょう。

ChatGPTとPerplexityの違い

PerplexityもChatGPTと同時期に登場したテキスト表示による対話型AIチャットボットです。アカウントの作成不要でページにアクセスすればすぐに使うことができます。使い方もChatGPTと同じで検索窓に質問を文章で入力するだけでAIがテキストで応えてくれます。

PerplexityはChatGPTと比較すると質問に対して端的に応えるのが特徴です。ただし、長文の返答を求めると、まとまりがなくなり蛇足・冗長表現が増える傾向にあります。一方でPerplexityは返答するに当たり、参照した出典を明記してくれます。クリックするだけでどのページを参照したのかすぐに分かるので、Perplexityの回答を信じていいのか自分で判断できます。

また、ChatGPTとPerplexityは現時点では無料で利用できますが、将来的には有料プランへの加入が必要となる可能性もあります。

ChatGPTはAGIなのか？

ChatGPTはテキストtoテキストにおいてはAGIの先駆けということもできます。ただし、現時点ではあくまでも自然言語処理能力と学習能力を掛け合わせた優秀なソフトに留まり、汎用性な知能とは少し異なります。

しかし、ChatGPTの提供元であるOpenAIはAGIの開発を目的としているため、将来的にはChatGPTで得た知識と技術を用いて本格的な汎用型AIの開発に着手することでしょう。ちなみにChatGPTに多額の出資をしているマイクロソフトは、同社製品の標準機能としてChatGPTを搭載することを発表しています。

AGIの将来性と活用方法

AGIの開発に成功すれば、これまで人間が実行していたあらゆるタスクをロボットに代わってもらうことができます。ビジネスだけではなく、人間の日々の生活にも溶け込むことでしょう。

ただし、特定分野や業種においては人間よりも複雑なタスクを実行できるかもしれませんが、現時点でAGIの知能が人間を超えられるかは分かっていません。また、AGIが普及すると人間の仕事をAGIが取って代わってしまい、雇用が失われてしまう問題も懸念されます。AGIが倫理的・社会的にどれほど調和のとれた行動をとるかも大きな課題となっており、決して明るい将来だけではないということは覚えておくといいかもしれません。

まとめ：AGIはAIの目的地。日本を含む世界が技術開発に参戦

ここではAGIの概要と人工知能(AI)について詳しく解説しました。AGIの研究は日本においても近年盛んに進められており、米国や中国、イギリスを筆頭にAI先進国が世界初のAGI開発成功に向けて努力しています。

近い将来、AIの急速な発展により、これまでの生活や仕事に大きな変化が訪れることもあるかもしれません。