【発注者側から見た】クラウドソーシングの発注コストが下がった!でも一概にお得と言えないワケ
ホームページやデザインなどWEB制作の発注にクラウドソーシングを検討していませんか?クラウドソーシングは確かにWEB制作会社よりも発注コストが安くなる可能性があり、人気を集めています。
しかも最近は社会情勢の変化で在宅ワーカーが増加し、買い手市場となったことで相場がどんどん安くなっているのです。
ただ買い手が有利になったとは言え、全面的にお得だとは言いにくい側面もあって、今回はそんなクラウドソーシングをとりまく今の状況について、詳しく解説していきたいと思います。
目次
クラウドソーシングの発注コストが下がっている
クラウドソーシングの発注コストは2020年に入って以降、相場が安くなっている傾向にありますが、まずは「そもそもクラウドソーシングの相場はどれくらいなのか」というところから見てみましょう。
クラウドソーシングの発注コストはどれくらい?
下記は大手クラウドソーシングサイト・ランサーズが公式で掲載している相場の目安です。
- ホームページ制作:5~40万円
- WEBデザイン制作:15~20万円
- ランディングページ(LP)制作:5~10万円
- WEBコンサルティング:10~20万円
参考:Lancers「制作物の種類・参考価格」2021年2月
クラウドワークスやクラウディア、ココナラなど、他のクラウドソーシングサイトでも大方このような相場に落ち着いていますが、以前よりも発注価格が下落しているのです。
これは売り手(受注者)の急増が最大の理由で、売り手が増えれば競争が激しくなりますし、仕事を得るためにはより安い価格でアピールしなければなりません。すると必然的に平均発注価格は安くなっていきます。
発注コストが以前より下がった理由
クラウドソーシングで働く人が2020年になって急増したのは、やはり社会情勢が関わっており、下記のような影響を多くの人にもたらしました。
- 収入が減った、仕事が無くなった
- 家にいる時間が増えた
- リモートワークが推進された
収入が減った人がどんな行動に移るかというと、通常は副業するか転職するかなのですが、外で仕事を探しにくくなったために、必然的に在宅の仕事に目を向けやすくなります。
リモートワークが推進され、自宅で仕事しやすい環境(パソコン・WEBカメラ・各種ソフトなど)が整った人も多いですから、ネットでできる仕事(特にクラウドソーシング)を始めやすい状況にあったと言えるでしょう。
クラウドソーシングで発注者と受注者を繋げる仕組みとして、最もスタンダードなのは簡単に言うと入札(=提案)形式で、提案してきた人の中から発注者が自分の条件に合った人を選ぶ仕組みです。
発注者がクラウドソーシングに求めるもの
当然、提案する人が増えればより条件の良い人を選びやすくなるわけですが、そもそもクラウドソーシングに発注する人とはどういう人だと思いますか?
一般的に、WEB制作を外注するとしたらまずWEB制作会社を利用するのが基本でしょう。それでも、あえてクラウドソーシングを使うのは「安いから」に他なりません。
本来はもっと高い価格じゃないと仕事を引き受けないハイレベルな技術者でも、競合が多いために安い価格で提案するようになり、そしてそういった人が選ばれる・・を繰り返して相場はどんどん下落していきました。
これは本当に発注者側に有利な状況であるとは言えますが、物事はもっと広く捉える必要があるように思えます。
クラウドソーシングが全体の相場より安いのはなぜ?
クラウドソーシングの発注コストがどんどん下がってきているのは事実ですが、そもそもWEB制作会社と比べて特別に安い状況が以前からありました。これにはいくつかの理由があります。
本業ではない人も多いから
クラウドソーシングで仕事を受注する人は、当然仕事を遂行できるだけの技術を持っている人ではありますが、決してプロ・本業であるとは限りません。現在クラウドソーシングは「稼げる副業」の代名詞となっており、気軽な副業感覚でWEB制作案件にサラリーマンや主婦・大学生などが数多く提案しています。
このような人たちは本業ではないので、比較的低価格で仕事を請け負うことが多いです。発注者側から見れば不安な部分はあるでしょうが、それでもプロ並に優秀な人はいるので上手く選べばコスパは抜群です。
マネジメントコストがかかるぶん安い
たとえばクラウドソーシングでWEB制作の仕事を発注するとして、ある人を選定して依頼内容を見せて待つだけで、はい完成とはいかないのが現実です。
適切に指示を出し、その都度チェックをするといった「マネジメントコスト」がかかってきます。コストというのは何もお金だけではなくて「労力」というものも含まれ、この労力を費やすからこそ、費用が安くなっているという側面がクラウドソーシングにはあるのです。
クラウドソーシングに業務を発注するメリット・デメリット
クラウドソーシングがなぜ安いのか?という部分を説明してきましたが、それを踏まえて実際に業務を発注するメリット・デメリットが具体的にどんなものかを見てみましょう。
メリット
クラウドソーシングに発注するメリットは、以下の通りです。
- 費用が安い
- ピンポイントで業務を発注できる
- 人材育成のコストを削減できる
たとえば新商品のホームページを制作することになり、社内スタッフだけで予定通り完成させられそうだけど、ボタン画像などは必要枚数が非常に多くて手が回らない。そんな手が回らないピンポイントな部分だけを発注する際に、クラウドソーシングが非常に便利なのです。
クラウドワークスやランサーズにはたくさんのエンジニア・デザイナーが登録しています。それぞれに得意な分野があって、LP(ランディングページ)が上手い人・バナー制作が上手い人・ボタン制作が上手い人さまざまです。そんな人に発注すれば、オンラインで簡単に仕上げてくれる便利さがあります。
自社の社員だけですべての業務をこなせるよう、人材をしっかりと育てていくというのは確かに重要なことかもしれません。しかし人材育成コストを考えた時に、必要に応じてクラウドソーシングを利用するのは賢い選択肢の一つでと言えます。
デメリット
対してクラウドソーシングに発注するデメリットは、以下の通りです。
- 機密情報の流出
- 人を見極めるスキルが必要
- 手数料がかかる
仕事を外部に発注するということは、受注者は通常なら知りえない社内情報に触れることもあるでしょう。クラウドソーシングで不特定多数の相手と取引すればするだけ情報流出のリスクは高まります。
この点に関しては非常に敏感になっておく必要があって、秘密保持契約は当然のことながら、取引相手を見極めるスキルも必須になってくるのです。
クラウドソーシング登録には厳しい審査があるわけではなく、何もスキルのない人でも、クラウドワークスやランサーズなら18歳以上という条件だけで登録できてしまいます。
本当にスキルがあるのか、安全性は大丈夫か、など相手を見極める力が試されますし、もし適当に選んでしまったら、突然いなくなって時間のムダどころか、金銭面でも大きな損失が出るかもしれません。
- 人柄は大丈夫か
- 連絡はきちんと取れるか
- お金で揉めないか
- これまでの評価はどうか
こういった点をよく見て選定していくといいでしょう。クラウドソーシングは安く便利に発注できる、よく考えられた仕組みとなっていますが、そういった場を提供してあげる代わりに手数料が必要となります。
大手のクラウドワークスやランサーズであれば、発注額の2割が手数料として回収されます。仮入金システムやサポートなど便利な面はあるけど高すぎに思える、という人にはデメリットでしょう。
インソーシングとアウトソーシング
今やクラウドソーシングは一般的になった言葉ですが、そもそもこれはアウトソーシング(外部委託)の一種で、ネットの発達とともに存在感を増してきた外部委託の新しい形です。
クラウドソーシングとの関係性
下記の通りクラウドソーシングは社外の不特定多数への委託なので、外部委託とほぼ同じ意味となっています。
アウトソーシング:外部委託
(≒クラウドソーシング:不特定多数への委託)
⇔インソーシング:内製化
インソーシングはアウトソーシングの反対の意味になっていますが、これは外注していた業務を社内で再び行うようにしたこと(内製化)を、アウトソーシングになぞらえて作られた言葉です。
インソーシングはコスト削減のために生まれた考え方で、自社で業務を行うように転換することで、アウトソーシングにかかるはずだったコストを浮かせる狙いがあります。
インソーシングの目的
インソーシングを進める主な目的は以下の通りです。
- コストを最低限に抑えられる
- 社内リソースを割かなくて済む
- スキルを培い、会社の財産となる
インソーシングはアウトソーシングでかかるはずだった金銭的コストを、人的コスト・時間的コストといった「社内リソース」でカバーする、コスト削減が根底にある考え方です。
社内リソースは「金銭・人・物・技術・時間・情報」といったあらゆるコストを指す言葉ですが、実際は人件費や設備費など、どのコストにも金銭的コストが絡んでくるので簡単に区別できるものではありません。
実際は人材育成したい、技術を培いたい、といった将来への投資的な目的でインソーシングが行われることが多いです。金銭的コスト削減だけが目的なら、状況に応じて部分的にアウトソーシングするなどの柔軟性が大切でしょう。
アウトソーシングの目的
アウトソーシングを利用する人(会社)の主な目的は以下の通りです。
- 専門性が高く、制作物の品質を上げられる
- 主軸業務に集中できる
- 必要な社内設備を整えなくて済む
WEB系と一口に言っても、会社ごとに得意分野や不得意分野があるのは自然なことで、自社の不得意分野を外注することは理に適ったことです。必要に応じて力を借りることで費用対効果を良くするのがアウトソーシングに頼る大きな目的でしょう。
主軸業務に集中したい時、それ以外の業務を外注してしまう使い方も便利です。制作物によっては必要な作業設備も変わってくるわけですが、その都度それを整えるには時間もお金もかかりますし、何よりスピーディーさに欠けます。
困った時に頼れるアウトソーシング
インソーシングだけで業務を進めるのであれば、多種多様なスキルや社員を揃える必要がありますが、アウトソーシングを利用すればいつでも専門性の高いプロの力を借りられます。
その専門に特化しているので最新のスキル・最新の設備に期待できるというのも大きな強みでしょう。スキル的にどうしてもインソーシングで解決できない、そんな時にアウトソーシングを検討することで解決できる状況は多いのではないでしょうか。
特に急速に事業拡大中の会社だと、これからどれくらいの人材・設備が必要になるのか見通しを立てるのが難しいと思われますが、部分的に臨機応変に対応できるアウトソーシングは非常に心強い存在と言えます。
クラウドソーシングVS制作会社、発注するならどっち?
アウトソーシングにおいては制作会社とクラウドソーシングが代表的ですが、どちらを利用するほうがよりお得なのでしょうか?
クラウドソーシングの強みは「ただただ安い」という部分で、それがなければあえてクラウドソーシングを選ぶ意味合いは薄いでしょう。しかし安いということは先述したようなデメリットも伴うわけで、安全性や品質の問題は避けて通れません。
3つの要素のうち、どれを優先するかで決める
自分がどちらを選べばいいかの判断の仕方は簡単で、下記の3つのうち、どれを優先するかですぐに決まります。
- 金銭的コスト最優先 → クラウドソーシング
- 品質最優先 → 制作会社
- 信頼性最優先 → 制作会社
ただ結果的に制作会社のほうが安く発注できる場合もありますし、クラウドソーシングのほうが満足のいく出来だった、という場合もあります。しかしクラウドソーシングには「不確実性」という要素があり、この不確実性こそがクラウドソーシングの本質とも言えるのです。
クラウドソーシングの本質は不確実性
クラウドソーシングにはあらゆるバックグラウンドの人がいます。エンジニアが本業の人もいれば、スキルアップのために参加している人もいて、どんな人が見つかるかはわかりません。
不確実性というとネガティブな響きがありますが、期待度も未知数という捉え方もできます。高品質なホームページを作りたいけどスキルもお金も足りない・・そんな時にクラウドソーシングを使えば解決する可能性があります。
まずクラウドソーシングで募集して条件に合った人が見つからなければ、切り替えて制作会社に発注するというのもいいと思います。募集するだけならお金はかかりません。
ただ、繰り返しになりますがクラウドソーシングは信頼できる人をきちんと選ぶスキルが大切です。安いといっても突然連絡が取れなくなってまた発注先を選び直すことになれば時間的コストが大きすぎます。
制作会社と違ってクラウドソーシングで関わる相手は、住所や連絡先が必ず公開されているわけではありませんから、その点は注意が必要です。
【まとめ】クラウドソーシングが一概にお得とは言えないワケ
クラウドソーシングは新しいアウトソーシングの形として注目を集めており、相場も下落傾向にあることから、業務の発注先としては非常に魅力的に見えるでしょう。しかし、以下のようなクラウドソーシングの側面を押さえておかないと逆に損をしてしまう場合もあります。
- 機密情報の流出
- 手数料がかかる
- 不確実性
基本的に制作会社に発注するのが最も確実なのですが、「選択肢の一つ」として考えるならクラウドソーシングも心強いですし、状況に応じて上手く使いこなすことが大きな費用対効果を生み出す結果につながるでしょう。
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