Notion (ノーション) AIの使い方とChatGPTとの違いを解説
業務効率化を図るためにノーコード開発ができるツールとしてNotionが知られています。すでに業務を自動化するためにNotionを採用したり活用したりしている人も多いのではないでしょうか。
このNotionには新しくAI機能が搭載されすべてのユーザーにリリースされました。今回はNotionに登場したAIの内容から料金などの概要とChatGPTとの違い、また具体的な使い方について解説します。
公式URL:https://www.notion.so/ja-jp/product/ai
目次
Notion (ノーション) にAIが登場
ノーコード開発ツールとして人気のNotionにAI機能が登場しました。Notionに特化したAIであり、Notionでの作業を幅広くアシストしてくれます。他社もAIを公開していますが、NotionのAIはNotionページのやデータベースに保存されているデータなどを活用できるという点で魅力的です。
また、AIを活用することで他社のAIと同様に文章を書くことが可能です。最近はAIを利用して文章の作成をサポートしてもらうことが注目されていて、NotionのAIにもそのような機能が搭載されています。
関連記事:
‣ 【Notion】ガントチャートの作り方。プロジェクト管理に最適!
今すぐNotionのAIを利用したいときの料金
今すぐNotionのAIを利用したい人は「料金がいくらかかるのか」という部分が気になるはずです。まずはどの程度の料金が必要となるサービスであるのかから解説します。
Notion AIの料金
NotionのAIを利用するならば以下のとおり料金が発生します。
- Notionの有料プランに加入していて年払いを選択:月額$8
- 上記以外:月$10
そもそも、NotionのAIはNotionを利用するサブスクリプションとは別に支払いが必要です。また、すでにNotionの有料プランに加入しているかどうかによって料金が異なります。
Notionのサブスクリプションに加入していて、なおかつNotionのAIを年払いで契約すると、実質的に月額$8です。この価格がNotionのAIを利用する最低価格であるため、その点は理解しておきましょう。それ以外の場合は月額払いとなり、月額$10になってしまいます。
なお、Notionの有料プランとNotionのAIは別のプランで管理されているため、Notion自体は無料プランでもNotionAIを契約可能です。「Notionは無料で良いがAIは使ってみたい」という人は、無料版のNotionを使いつつ、NotionのAIに対してのみ料金を支払うと良いでしょう。
無料トライアル実施中
NotionのAIは無料トライアルがあるため、まずはこちらで機能を確認してみることをおすすめします。2023年3月現在では、Notionのアカウント1つに対して、機能の制限などなく20回まで無料で利用可能です。トライアルとしてすべての機能を利用できるため、まずは気になる使い方を試してみましょう。
ただ、20回の利用制限は多いようにみえて意外と少ないものです。いくつかの使い方を試してみると、いつの間にか20回に達してしまいます。そのため、どのような使い方を試してみたいのかは優先順位をつけることがおすすめです。なお、利用回数が20回を超えると、有料サブスクへの加入を促され利用できなくなります。
Notion AIとChatGPTの違い
NotionのAIと比較されやすいAIサービスにChatGPTがあります。続いては、これらの違いについてアルゴリズムや機能、料金などの観点から比較してみます。
アルゴリズム
NotionのAIとChatGPTはどちらも高度な自然言語処理技術を用いた人工知能です。ただ、これらの開発アプローチや適用できる分野には違いがあります。
まず、Notion AIは、文章の自動生成や機械翻訳、文章の要約など、ある程度特定のタスクに特化した利用が中心です。また、Notionに実装されているということもあり、ビジネスシーンでの活用が想定されていると考えられます。また、NotionのAIは、大量のテキストデータから統計的なパターンを学習して、それを踏まえた文章作成が得意です。
それに対して、ChatGPTも自然言語処理によって文章を自動生成する技術ですが、Notion AIと異なります。例えば、ChatGPTは対話型のチャットボットとして利用されることが多く、用途は制限されていません。NotionのAIとは異なり、エンターテイメントや教育などで利用されることもあります。深層学習モデルであるトランスフォーマーを採用し、大規模な会話データから学習した結果に基づいた文章を生成します。
アルゴリズムの違いは生成される文章や処理の結果に大きな違いを与えるものです。難しい部分もありますが、多少は頭に入れておきましょう。
機能
対応してもらえる機能に違いがあります。どのような観点から業務などをアシストしてもらいたいかによって選択するようにしましょう。
まず、NotionのAIは文章の作成などに限らず、Notionの操作が可能です。例えば、NotionのAIに依頼することでToDoリストを作成してもらうことが可能です。また、Notionのデータを活用したデータ分析なども実現できます。Notionの内部に限られますが、操作やデータソースの取り込みができます。加えて、ページへのアウトプットも可能です。
それに対して、ChatGPTはユーザーが入力するチャットフォームでのやりとりだけです。指示できる範囲内では対応してもらえますが、標準ではその結果を外部にアウトプットするなどできません。そのような操作はChatGPTのアウトプットをコピーして人間が対応する必要があります。
関連記事:
‣ AI検索エンジン「Perplexity.AI(パープレキシティ)」を日本語で利用する方法
‣ BingでChatGPTのように検索を使う方法。マイクロソフトによるAIチャットを活用してみる
料金
NotionのAIとChatGPTは料金面で違いがあります。利便性を大きく左右する部分であるため、必ず押さえておきましょう。
まず、無料の範囲内で利用するならばNotionのAIは上記で解説したとおり20回までしか利用できません。それに対してChatGPTは基本的に無料で利用できます。無料会員はレスポンスが悪くなったり混雑によるエラーが表示されることがありますが、実用に耐えうる速度です。無料にこだわるならばChatGPTに魅力があるでしょう。
続いて、有料会員はNotionのAIが月額$10、ChatGPTなら月額$20です。ChatGPTは基本的に無料で利用できる代わりに、有料会員が高額に設定されています。提供されている機能に違いがあるものの、有料会員になるならばNotionのAIが使いやすいといえるのです。
環境
どのような環境で利用できるAIであるのかという観点で大きな差があります。AIを利用した「拡張」を考えているならば気をつけるべき部分です。
まず、NotionのAIは現時点でNotionの内部でしか利用できません。つまり、ユーザーの利用環境としてはNotionの内部に限られてしまいます。Notionの画面からは簡単に呼び出しが可能であり、関連する機能の操作もできますが、外部からの呼び出しは不可能です。
それに対して、ChatGPTは外部から呼び出しができるようにAPIが用意されています。例えば、LINEからChatGPTのAPIを利用して質問するサービスなどが開発されています。もはや環境を問わないサービスになっているのです。
NotionのAIはNotionに特化しているため、閉じた環境でしか利用できません。もし、Notion以外でもAIを利用したいならば、ChatGPTを選択し、Notionを使いこなすならばNotionのAIがおすすめです。
具体的なNotion AIの使い方
具体的にNotionをどのように利用すれば良いのかイメージできないかもしれません。続いては、実際にNotionのAIを利用して、どのようなことができるのかについて解説します。
ブログ記事の下書き
NotionのAIには「次についてのブログを執筆」という機能があります。まずはこちらを利用してNotionのAIについてのブログを下書きしてもらいましょう。
実際に文章を下書きしてもらうと以下のとおりです。簡単な文章でまとめられてはいますが、一般的なブログで説明されることの多い、機能や利点について解説してくれています。これを編集したブログの本文とすれば、まずは骨格が完成するはずです。
また、内容が短いと感じた場合は、さらに長くしてもらう「肉付け」を依頼することも可能です。
今回は極端に長くなっていませんが、文章の長さや詳しさに不満がある場合は、さらに長く書いてもらえます。
SNS投稿の下書き
ブログのように長い文章ではなくSNSに投稿することを前提とした「次についてSNSの投稿を作成」という機能があります。こちらにNotionのAIについての投稿を下書きしてもらいましょう。
以下のとおり、SNSを前提とした短い文章で出力されています。今回は指定した条件が短いため、出力される文章も短くなっていますが、細かく指定すれば文字数の上限ギリギリの文章も執筆可能です。
小説の執筆
何かしらの小説を読みたい場合には、NotionのAIに文章を書いてもらうことが可能です。「創作ストーリー」と「エッセイ」という機能があります。今回は創作ストーリーで文章を出力してもらいます。
冒頭の部分だけですが、以下のとおり創作ストーリーが出力されました。ここから、さらに続きを書いてもらうことを依頼すると小説の続きを読めるようになります。
なお、名言はされていませんが、レスポンスの文字数には上限があると考えられます。キリの良い場所で小説の執筆がストップし、そこから続きを書いてもらうように依頼することで、続きが読めるようになる仕組みです。
ToDoリストの作成
Notionの機能であるToDoを自動的に生成することが可能です。テーマに沿ってやるべきことを洗い出してくれる「次についてToDoリストを作成」を利用しましょう。例えば、ブログ執筆についてやるべきことを洗い出してもらいます。
以下のとおりNotionに実装されているToDoリストの形式で出力してくれます。チェックボックスになっているため、終了したタスクからチェックを入れることが可能です。また、内容面でも一般的なブログ執筆に必要なタスクが羅列されているため、これに沿った作業ができます。もし、自分なりのタスクがあるならば、AIが生成したToDoリストに追加することで充実させることが可能です。
翻訳
Notionに文章を与えることで翻訳してもらうことが可能です。翻訳サービスは多数存在していますが、NotionのAIを利用することでNotionの内部だけで完結できます。例えば、以下のように日本語を英訳してみましょう。
英訳された結果は以下のとおりです。不自然な英語ではなく、実際に利用される英文に近いかたちで翻訳されています。長い文章についても英訳や日訳を試してみましたが、英語の翻訳能力は高い印象です。利用者がイメージしていた文章に近いものが出力されます。
ただ、日本語から英語への翻訳については「こなれた英語」が出力されるようです。英語に長けていない人は、そのニュアンスをつかみにくいかもしれません。また、メールの返信を依頼するとビジネスの場では適さないラフな文章が執筆されることもあるため、利用する場面などを踏まえることが重要です。
シーケンス図の作成
文章を作成するのではなく、シーケンス図などを作成することも可能です。AIに対して文章で指示することで、シーケンス図を表示してもらえます。例えば、商品販売のフローをMermAIdで記述してもらいましょう。
以下のように特別な記法についても対応が可能です。大半の人はシーケンス図に詳しくないと思われますが、このような特殊な用途についても対応できる一例として認識してください。
今回はAIが考えてシーケンス図を作成していますが、細かな条件を指定することもできます。文章で指定すれば反映してくれるため、必要に応じてそのような使い方も試してみましょう。
Markdownでの構成作成
文章を執筆する際に利用している人も多いのがMarkdown記法です。エンジニアのみに利用されている印象もありますが、日頃から議事録などに利用している人もいるでしょう。Markdown記法についても、NotionのAIでもちろん出力可能です。例えば、議事録のテンプレートを出力してもらいましょう。
NotionはMarkdownをビジュアル化して表示してしまうため、画面では以下のように表示されます。ただ、テキストファイルとしてアウトプットすると、Markdown形式で保存されています。
プログラミングの下書き
何かしら簡単なプログラミングをしてほしいときにもNotionのAIを利用できます。プログラミング言語と実装してほしい内容を指示することで、プログラムを出力可能です。例えば、PHPのプログラムを依頼すると以下のようになります。
美しい数式として知られているものを依頼してみました。複雑な式ですが、インドの数学者が発見した数式がしっかりとプログラミングされています。
このような有名な数式はもちろん、個々の要望に応じたプログラミングも可能な限り実現してくれるのです。なお、今回は編集が必要ありませんでしたが、状況次第では細かな編集が必要となるかもしれません。
Notion AIは記事や文章の要約への活用がおすすめ
Notionの自動化などに活用できるAIですが、文章執筆に関する高い能力を有しています。そのため、記事や文章の要約に活用することをおすすめします。
ブログの文章を要約する
例えば、ブログに書かれている内容をコピーして、NotionのAIに張り付けることで要約してもらえます。長い文章を読む時間がない場合は、要約してもらうことでサマリーだけを理解できるのです。
また、英語で書かれている文章を入力すると、翻訳と要約を同時に進めてくれます。英語のまま要約を依頼すると英語の文章が出力されますが、日本語への翻訳を依頼すると日本語で出力してもらうことが可能です。日本語に翻訳してもらったほうが理解しやすい人が多いと考えられるため、まとめて処理できる点は魅力です。
なお、注意点としてNotionのAIはインターネットの情報を収集できません。そのため「http://www.abc.def/testの内容を要約してください。」のような使い方はできません。実際に文章をNotionにコピーしてきて、その内容を要約してもらう使い方が求められます。
議事録を要約する
長い議事録をまとめてもらうことが可能です。議事録は事実を把握するために重要な資料ではありますが、内容が多くなりすぎると把握に時間を要してしまいます。また、メールの本文にサマリーを記載したいときなどは要約すると便利でしょう。例えば、国会の議事録をNotionのAIに取り込むと以下のとおり議事録を要約できます。
長い文章で書かれている議事録が、箇条書きで要点のみを示す形になりました。必ずしもこのような形式で要約されるとは限りませんが、原文と内容に齟齬はなく、原文よりも理解しやすい形式でアウトプットされています。
まとめ
Notionの新機能であるAIについて解説しました。基本的には業務を効率化できるツールですが、AIが導入されたことで今まで以上に使い勝手が高まっています。特に文章を書いたりデータを作成・処理する機能については、Notionの各機能と連携しながら利用可能です。
非常に便利なツールではありますが、無料トライアルが終了した後は料金がかかってしまいます。他社のAIには完全無料で利用を続けられるものがあるため、比較するとデメリットでしょう。ただ、提供されている内容や今後のリリースされるであろう機能に期待できることなどを加味すると、決して高い価格設定ではありません。